● ワンクリック詐欺や架空請求メールなどで「未払いの場合、IP等の情報を元に自宅・通勤先などに請求をさせて頂きます」などと言う詐欺業者の脅し文句によく使われるIPですが、そもそもIPと言うのは何か分からない方もいると思いますので、ここで少し説明させて頂きます。（ご存じの方はスルーで構いません）
・インターネットに入るためにはIPと言う0〜255の数字を四桁組み合わせた識別番号が必ず必要となります。通常一般家庭から接続する場合、プロバイダからIPを借りて入場する事になるのですが、入場する際に何年何月何日の何時何分何秒に誰にこのIPを貸し出したかと言う「ログ」がプロバイダのサーバに必ず残ります。
・そしてインターネット上での行動（いつどこのブログに入場したかとか、掲示板に書き込んだかなど）は同様に、各サーバにログとして残ります。
・最後にネットから抜ける際にもプロバイダのサーバにログとして記録が残ります。下に一般的な流れを図にしておきましたので、参考にしてください。なお携帯の場合はIPの他に個体識別情報がセットになって、プロバイダが携帯会社になります。（図はすべてクリックで拡大します）
● 一般的には「インターネットは匿名性が高い」と思われているようですが、実は丸裸で外を出歩いているのと同じだったりします。ですので「他人の誹謗中傷」「殺人予告」などをした場合、掲示板などのサーバのログとプロバイダのIP貸し出しログを突き合わせれば、一発で発信元が特定できるというわけです。（これも図にしておいたので、下の図を参考にしてください）
・よく「掲示板に殺人予告を書き込んだ」と言う事で、書き込んだ人物が捕まってニュースで名前がさらされる事がありますが、それはこういった仕組みになっているからです。
● ワンクリック詐欺はこれを逆手にとったもので「お前のIPを把握したから、逃げられないぞ」という脅しをかけてくる訳ですが、プロバイダや携帯会社から個人情報の開示請求が出来るのは、裁判所か警察からの正式な要請があった場合に限られます。
・まあこんな間抜けなワンクリック詐欺業者はいないと思いますが、プロバイダや携帯会社に情報開示を申請したとしても、詐欺師に個人情報を開示する事はありません。そう言った訳でワンクリック詐欺に引っかかったとしても、詐欺師はあなたを特定することは出来ません。（そのために必ず連絡先を表示して、引っかかったカモから連絡がくるのを待って個人情報を引き出そうとしているのですが）
● 最後に詐欺サイトによってはマルウエア（スパイウエアの類）をセットで使ってくる場合があるので、最低限ウイルス対策だけはきちんとした上でネットを利用してください。そうしないと最悪の場合あなただけではなく、知人のメールアドレスなども抜かれて周囲に迷惑をかける事になります。
